それでも、笑って暮らすために

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朝はいつも、布団の中でネコのように体を伸ばしてから始まる。
スマホから流れる音楽が、冷えた部屋にほんの少しだけ温もりを与えてくれる。

「どうしよう」
意味もなく、そんな言葉がこぼれる。

誰もいない一人暮らしの部屋。
聞いてくれる人も、答えてくれる人もいない。
ただ、今日もまた同じ朝がやってくる。

洗顔、歯磨き、そしてコーヒーを淹れる。
その一口が、妙に沁みる朝がある。
たぶん、心に余裕がない証拠だ。

あの子に聞いたことがある。
「ストレスって、どうやって解消してる?」
彼女は笑って言った。

「寝ること」

「どうして?」と私が尋ねると、
「思考しなくていいから。仕事中はずっと頭を使ってるから、何も考えない時間が一番楽なの」

私は苦笑した。
寝るなんて、時間の無駄だと感じていた。
仕事が終わったら、コンビニで好きなチョコを買って、ネットの海に潜る。
夜更かしこそが、私の自由だった。
眠る時間が惜しい。
そう思っていた。

でも、朝が来るたびに思う。
このままでいいのか、と。
そして、またコーヒーを飲みながら、自分に言い聞かせる。

「大丈夫、大丈夫」

昼は工場で機械音に包まれる。
規則正しく流れるベルトコンベア。
怒号が飛ぶ。

「遅い! 何してんねん!」

「聞いてんのか?」

耳に入ってる。
けど、心にはもう届かない。

心の中ではいつも「辞めたい」と叫んでいる。
それでも、働かないわけにはいかない。
生活のために。

幸い、私は一人暮らしだ。
誰にも迷惑はかけていない。

今日は給料日——だったらどれだけ救われるだろう。
本当は、あと20日も先だ。

それでも、私は立ち上がる。
チョコレートとステーキを思い浮かべて、笑う練習をする。

誰かに大切にされなくても。
自分だけは、自分を見捨てたくない。

きっと、いつか。
本当に笑える朝がくる。
その日のために、私は今日も生きていく。

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