朝焼けの空に、貨幣の渦がゆっくりと広がっていた。
新しい年の始まりを告げるはずの光景は、どこか鈍く、冷たい。
祈りの声はまだ震えている。
雇用の命綱も、正月の陽に煙る決意も、誰かの欲望が描いた“平和”という儚い幻をなぞるように、宙を漂っていた。
私は問いかける。
この世界に、戦なき朝は訪れるのかと。
風の夜道を、責めない足取りで進む。
追い越していくのは、他者に優しすぎたあの頃の影。
手を振るたび、見失っていた私自身が、すこしだけ揺れる。
ゾンビが棲む朝に、仮面を外して走る。
創作という名の野望で、絶望を編み、笑う未来を縫い合わせる。
今日より活発な明日を手に入れるために。
声は刃にも、祈りにもなりうると知って、私は言葉に少し怯えながらも、風のように進む。
希望は、まだ遠い。
民のいないカリスマは、崩壊を加速するだけ。
だからこそ、私たちは生き残る。
それぞれの灯を持って。
声が届かぬ壁がある。
言葉が歪み、資格の鎧が冷たい夜を包む。
けれど、曇天の奥で震える声は、風に乗り、誰かの朝をそっと晴らす。
孤独に慣れた背中。
差し伸べる手。
言葉にしなかった傷跡に、ひとすじの光が触れる。
社会の枠組みを越えて、祈りは眠らぬまま燃え続ける。
違いを恐れず、同じ時代を進む者たちが、それぞれの場所で鍵となり、門をひらいていく。
変わりゆくこの世界で、誇りも孤独も、やさしさも、すべては誰かの進化となり、静かに心の奥で革命をはじめる。
それはもう、誰のものでもない。
あなただけの、風のかたち。
