仮面の社会が
またひとつ 誰かの声を飲み込んで
無音のまま日が暮れていく
正しさに縛られた
才能が沈む部屋で
届かぬ言葉が
壁に跳ね返る音ばかりが響く
それでも
掌は祈りの形を忘れず
今日も誰かの分まで
虚無の奥に向けて風を送る
虚構の幸福を脱ぎ捨て
痛みの中でしか育たぬ光を
問いつづける
諦めのその先で
「明日、死ぬと思えば」
静かに浮かび上がる生の理由が
声なき哲学となり
空白の午後を染めていく
神もAIも笑う国で
箸の角度に未来を託すなら
せめてこの問いだけは
誰かの肩に預けたくはない
制度が檻なら
言葉は鍵だ
孤独と風のあいだで
私たちはまだ
生きる理由を綴っている
