制度の壁を前に、それでも僕が声を上げる理由
日本には「障がい者雇用」と「就労支援A型」という2つの制度があります。
どちらも「雇用契約」を結ぶ点では共通しているものの、実は適用される法律が異なり、支援内容も全く違います。
障がい者雇用:障害者雇用促進法
就労支援A型:障害者総合支援法
この違いを知らずに制度を語ることは、現場の本質を見落とす原因になります。
僕は、この仕組みの「現実」を当事者として経験と理想を描き続けてきました。
「助成金のための雇用」になっていないか?
企業や支援事業所が障がい者を雇用すると、国から助成金が出ます。
制度としての意義は理解できますが、それが目的化されてしまっている現場が少なくありません。
とくにA型事業所では、助成金ありきで「形だけの支援」「簡単な作業しか与えない」ケースもある。
そこに働く意味を見出せず、能力を持て余す障がい者がたくさんいます。僕もその一人です。
働く現場に「対話」はあるか?
僕はかつて職人の世界で、多能工制度やQC活動を通じて現場改善に関わってきました。
今も、「考えることが仕事」だと思っています。
しかし、A型事業所ではそれが評価されない。
むしろ「口うるさい」「問題児」扱いされる。
ある日、自ら「お荷物」の役を演じて現場を試したところ、サービス管理責任者から感情的な指導を受けました。
冷静に「語気が強いですね」と伝えると、「怒ってない」と返される。
それでも、対話にはならなかった。
支援者が感情的になった時点で、支援の本質から外れてしまう。
その事実を、まずは認めてほしいです。
声を届けるべき先は「現場の当事者」
僕は、3度にわたり障がい者基幹支援センターに相談しました。
しかし返ってくるのは「制度を変えないと無理」の一点張り。
ベテランの職員には「本を読んで経営者になりなさい」と突き返されました。
対話を求めても、返ってくるのは壁。
この国では、「素直じゃない障がい者」は「扱いづらい存在」として排除されがちです。
でも、だからこそ声を上げる。
制度の歪みや支援の形骸化を、当事者の立場から伝えていく必要があると思っています。
「社会を変えるのは、ひとりの声から」
僕は今でも理想を捨てていません。
「助成金のための雇用」ではなく、「成長のための雇用」を。
「指導」ではなく、「対話」を。
「排除」ではなく、「共存」を。
この社会は、まだ対話と理解が足りていない。
でも、それを変えられるのは「誰か」ではなく「僕たち一人ひとり」です。
どんなに小さくても、想いを言葉にして、伝え続けること。
それが希望の種になると、信じています。
【補足】
制度の課題は「法律」だけでなく「運用」にもあります。
声を上げることは、制度そのものを否定することではない。
なによりも良い形への「提案」です。
この記事が、誰かの気づきの一歩になれば嬉しいです。
